先月、政権交代をはたした連立民主党の鳩山内閣が解散をし、新たに菅内閣が発足しました。強い経済、強い財政、強い社会保障の実現のための新成長戦略が策定されました。建築、不動産業の戦略として、中古住宅・リフォーム市場の倍増計画が盛り込まれました。これまでの、新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換を促進するため、建物検査・保証、住宅履歴情報の普及促進等の市場環境整備・規制改革、マンションの再生を盛り込んだ中古・リフォーム市場整備のためのトータルプランの策定をしました。また、中古住宅流通市場・リフォーム市場を20兆円まで倍増を図るとともに、ネット・ゼロ・エネルギー住宅を標準的な新築住宅とすることを目指します。これを受けて、国土交通省では中古住宅に評価指標を決め、売買を即すため、来年4月から物件評価の目安となる指標を公表すると発表しました。建築・不動産マーケットは急激に変化するように見えますが、人口の減少や世帯の変化を見るとその将来がみえてきます。大きく分けてこれからの建築、特に居住用の不動産については、わが国の抱える人口・世帯等の社会構造的な問題と、建物における環境、耐震等の問題がかかわってきます。
日本の人口が減少傾向にあるのは誰もが知る事実です。経済の成長を考えるのに、人口増加を考える事が当たり前だった時代の理論はもはや通用しません。急激な少子高齢化は社会的大問題であり、これからの政治や経済のあり方にも大きく影響します。今までに経験したことのない事態にどのように対処するかは全く未知の世界となります。ここで、少し慎重に数字を考えてゆきますが、2010年の人口ピラミッド(国立社会保障・人口問題研究所)は図1のとおりとなります。45年先の2055年の予想の図2と見比べて頂ければ解りますが、全体の面積(=総人口)は減り、頭でっかちな高齢社会になる事が伺えます。人口の総数で言えば2008年が、1億2千7百万人だったのが、たった45年で8千9百万人になってしまうのです。これは今から55年前の1955年と同じレベルであり、僅か100年の間で日本の人口には大きな変動がおこります。現在の65歳以上の老年人口は21%、つまり100人に対し21人ですが、2055年には41%、100人に対し41人となります。また、0歳~14歳までの年少人口は8%、15歳~64歳の勤労人口は51%となり、働く人は実に2人に1人となります。このような時代が来る事を考えれば、今までの建築・不動産のあり方が大きく変わることは予想できると思います。また、忘れてならないのは世帯数です。日本の世帯数はまだ増加しています。人口減少が起こったにも関わらずしばらく世帯数は増加するのです。2010年の総世帯数は5千20万世帯、平均世帯人員は2.47人です。2015年では、5千60万世帯、平均人員は2.42人に減少します。推計ではここで世帯数は頭打ちになります。平均人員は減少し、さらに単身世帯は増加が加速します。つまり、不動産投資を考えるには、直近での世帯数増加、将来の人口減少、世帯数減少及び単身世帯の増加を考える必要があります。
これらの人口問題を切り口に考えても、直近のデータは別にして近い将来ストックマーケットである中古の建物流通が中心となり、それを修理して使うリフォームマーケットが充実してくることが読み解けます。さらに、拍車をかけるのが環境の問題です。日本の住宅の耐用年数は30年であり、米国55年、英国77年に比べかなり短いものとなっています。これでは財産である不動産と言っても社会的価値は維持できません。今後は新築住宅に性能の高い省エネ基準や耐震基準が求められ、長期に居住でき、環境に優しいエコ住宅である事が必須となります。長期に住宅が使用するわけですから、この切り口でも中古マーケット、リフォームマーケットは活性化すると予想されます。新政権による成長戦略に挙げられている、建物検査・保証、住宅履歴情報の普及促進等の市場環境整備・規制改革は、今までの建築・不動産マーケットのありかたを大きく変えることになると思われます。

図.1 2010年 人口ピラミッド

図.1 2055年 人口ピラミッド
前田由紀夫

木造集合住宅
EUでは住宅の省エネを数値化しなくてはなりませんし、省エネ基準に則った住宅でないと価値も低くなってしまいます。また、住宅の寿命も長くする工夫が多くしてあります。よって、新築、中古住宅を問わずかなり高気密・高断熱であり、太陽光パネルや地熱利用などの自然エネルギーを利用する設備等の技術も進んでいます。しかし、それらをそのまま日本に持ってきても、気候や風土が違うので快適な住宅は出来ません。快適と感じることについては国や地域は関係ありませんが、南北に長い日本列島も南と北とでは気候条件から建物の仕様もかなり変わってきます。EUでも特に北に位置する地方は、自然のエネルギーをうまく利用していると思います。そのひとつの考え方に太陽からの光(熱)を蓄熱する考え方です。昼間降りそそぐ太陽からの熱を壁面などにため込んで、夜間の暖房に使うような考え方です。また、部屋の気密性・断熱性能を上げるための気密シートや、断熱材もよく考えられ、環境に優しい材料が使われています。国策として環境に取り組んでいるのがよくわかります。さて、快適な住まいとはどのような条件が必要であるかを考えてみましょう。一つの選択肢として、高気密・高断熱があります。では、どのようなメリットがあるのでしょう。しっかりと気密され、断熱された住宅ではどの部屋でも温度が一定し、年中快適に暮らせます。脳卒中で亡くなる方のデータを見てみますと、気温の低い長野県、秋田県、岩手県、群馬県が多くなっています。しかし、北海道は寒い地域にかかわらず鹿児島県よりも低くなっています。これは、北海道が非常に寒いことにより、住宅に寒さ対策が考えられているからにほかなりません。寒い時期は住宅の中の温度差が激しくなる傾向にあります。たとえば居間は25℃あるのですが、トイレやお風呂はまたそこに行く廊下は非常に寒く、5℃になっていたとします。実に温度差20℃です。これでは、暖かい部屋から冷蔵庫のなかに入るようなもので体もついていきません。特にご高齢の方には厳しい環境と言えるでしょう。この状態で脳卒中になったりすることを「ヒートショック」と呼びます。しかし、家屋全体を適正な温度にする工夫があれば、このヒートショックにより脳卒中になる方も少なくなります。この快適性能を実現するためには、温度差を小さくしなくてはなりません。空気は暖められると上昇しますが、高気密・高断熱の住宅は、暖房で暖められた熱が逃げにくく、部屋中の温度差があまりありません。家屋全体を暖めるというと無駄なエネルギーを使い省エネではなくなると思われる方がいるかもしれませんが、建物の外部に面す壁や窓を高気密高断熱にすることにより、少ないエネルギーで家屋全体が温まる状態となります。また、高齢者にとっても、家屋全体が暖かければ行動範囲が広がり、体を動かす機会も増えてきます。部屋の暖かさは、容量の大きな暖房器を使い室温を20℃にする場合と、高気密・高断熱で20℃を保つ場合では快適さが全然違います。壁・床・天井がしっかり断熱していないと冷輻射(コールドドラフトとも言い、冷たいものに近づくと人体からの輻射熱が吸収され反射熱がないので体感温度が下がること)により寒く感じ、隙間風やドアを開けた時の空気の流れで室温が高くても暖かさを感じないことがあります。これらのように体で感じる温度を体感温度と言います。断熱・気密レベルの低い建物は室温が20℃でも壁等の表面温度が10℃であれば体感温度はおおよそ15℃となります。しかし、断熱・気密レベルの高い家屋では、室温20℃、表面温度が18℃であれば体感温度は19℃となります。体感温度の計算は、(表面温度+室内温度)÷2=体感温度、でだいたい求められます。これは寒い地方、寒い時期だけの問題ではありません。夏の冷房でも同じとなります。断熱や気密がしっかりしていない家屋は、外部から暖かい空気が流れこんだり、壁や屋根からの熱が伝わったりしてエアコンの効きが悪く感じます。これではせっかくの設備も能力を十分に発揮しません。高気密・高断熱を実現するには高度なノウハウが必要ですが、省エネで快適性の高い住宅は。CO2を25%削減しなければならない時代に必須となります。すでにEUでは多くの高気密・高断熱で省エネ快適な住宅が建てられています。
前田由紀夫

木造ホテル
昨今、地球温暖化対策を考えずして政治や経済は語れません。日本の家電製品はここ数年でかなりのレベルの省エネを達成してきました。これは世界に誇れる素晴らしい技術だと言っても良いと思います。日本企業の技術力の高さ、日本人のものづくりに対する勤勉さが、短期間で省エネ商品を開発したのです。また、エコポイント等の政策面の後押があったのは言うまでもありません。さて、家電製品のような機械物になるとかなりの技術を持つ日本人ですが、なぜか住宅の省エネについてはあまり深く考えていないように感じます。建物を建てて永く住み続ける事は省エネの基本的な考え方です。また、その建物は快適な空間がなければなりません。冬は暖かく夏は涼しい住宅です。しかもエネルギーを極力使わない住宅です。このエネルギーには二通りあります。一つは化石燃料を燃やして作ったエネルギーです。これは一般的に電力会社で買ったものを使っています。もうひとつは、自然エネルギーを利用したものです。太陽の光を利用した太陽光パネル、太陽の熱そのものを利用した温水器、また、風や地熱等を利用したものもあります。電力エネルギーを得るために色々と工夫されています。そして、最近は様々な商品が開発されています。太陽電池はもちろんのこと、家庭用風力発電機、エコキュート、熱交換換気扇、液晶テレビ、LED照明等々。しかし、省エネの象徴的なものは車でしょうか。エコカー減税もの追い風もあって、ハイブリッドカーは驚くほどの売れ行きです。モーターとエンジンで走りますのでかなり燃費が良いのです。さて、この燃費ですが、家電製品の消費電力や自動車の燃費は気にしますが、住宅がどのくらいの燃費であるのかはあまり議論されてきませんでした。しかし、EUの住宅事情は少々違います。最近、EUでは新築及び中古住宅に、燃費表示をすることが義務付けられたのです。これを、エネルギーパフォーマンス表示制度と言います。加盟国によって算出方法や表示方法は多少違いますが考え方は同じです。住宅全体を捉え、どのくらいの燃費であるのかを、住宅の床平方メートル当たりの年間エネルギー消費量として表示しなくてはなりません。日本の場合、最近始まった住宅版エコポイントもそうですが、住宅のパーツパーツを捉えた考え方をしています。これでは住宅全体の燃費を知ることはできません。日本は世界をリードして省エネ商品を開発し、CO2排出を抑えなければならない立場なのですが、現状は方向性が違います。
また、住宅そのものを建てるのに大量のエネルギーが必要となります。EUでは住宅と言うと石造りのイメージがあります。しかし、最近では環境に優しい循環型の建物として木造が注目されています。すでに4階、5階建ての木造住宅が普通に建設されているのには驚きです。日本も森林大国であり、一戸建てを建設するには木質の材料を使用するのが一般的です。また、合板などの木質材力は、鋼材やアルミニウムに比べ材料生産時のエネルギー消費が格段に小さく済みます。つまり、日本でも意識をすれば環境によい快適な住まいづくりの流れになると思います。最近、環境番組等を観ていると「フードマイル」をよく取り上げています。これは、販売されている食材が原産地からどのくらいの距離を移動したかを測ったものです。よくアスパラガスや小麦を例にとって、国産と輸入でどのくらい消費エネルギーが違うかを比較されています。これは、住宅にも言える事です。建材の製造過程のエネルギーが少なく、それらの建材をうまく使って快適な住宅を建設すればよい訳です。もちろん、その快適さは寒さ暑さを我慢するようなものでないと言う定義をクリアしなくてはなりません。さて、EUの住宅はどのような工夫が凝らされているのでしょう。ドイツやオーストリア、スイス等は日本よりかなり気温の低い国です。同じ住宅と言っても、もちろん日本とのは気候の差もありますし、習慣も違います。しかし、省エネルギー(エコ)で快適な暮らしをする目標は日本もEUも同じです。快適な住宅は寒暖の差がなく、高齢者や障害者に優しく、誰にとっても健康的な住宅です。次回はその快適さを求めるための工夫について考えたいと思います。
前田由紀夫
ここ数年間、金融不安、経済危機、政権交代と我々を取り巻く環境はめまぐるしく変化していますが、それに伴い不動産は将来どのような動きをするのでしょう。
昨今不動産も、他の商品と同じように再利用するマーケット、すなわち中古利用に移ってきています。通常、新築住宅着工件数は年間100万戸を基準にそれ以上が見込まれました。しかし、07年度は103万戸とかなり落ち込み、昨年を見ても1月~10月までの着工件数は65万戸しかありません。これは1960年代後半の水準となり、経済は高度成熟しているものの、マイホームを持つことが人生最大の夢だった時代と同じレベルになってしまいました。
このような時代の流れを読むと、不動産も再利用の時代に突入していると考えられます。これは、いままでの消費型社会から循環型社会への転換が不動産のマーケットにも顕在化してきていることだと考えられます。環境問題の視点で見れば、資源を有効に使ってCO2の削減をし、いまある資源を再利用する考え方です。住宅から排出されるCO2の量は住宅建設時に20・6%、修繕・解体時に7%、そして使用しているときに72・5%を排出します(CASBEEすまい評価マニュアルより)。つまり、居住している時こそ多くのCO2を排出するわけですから、再利用の際には改修時の断熱等の対策が重要となってきます。
この再利用、つまり中古を直して使うことに対して消費者の抵抗感がなくなってきている事も、昨今の中古マーケットの伸びをみるとよくわかります。たとえば、中古のゲームやCD、DVD、本等はかなり多く流通しています。ブランド商品を扱う質店、車、家電、携帯電話までもが中古品の市場を拡大しており、消費者も満足している構図が出来上がっています。 中古品の問題点はその品質の証明にあります。安価な商品であれば、多少の瑕疵は見逃せますが、住宅のように高額なものはしっかりとその建物の質を検証する必要があります。ここが、他の商品と違い、安心できるマーケットが育成されるように行政がしっかりとした基準を設けなければならない理由だと思われます。完成した後の住宅の履歴や設備の性能等を記録する作業も推進されていますが、まだまだ安心・安定した売買のできるマーケットになるには時間がかかりそうです。
しかし、我々先進国においては、温室効果ガスを低減させるため、CO2削減に大きく貢献する余地のある不動産には期待がかかっており、時間をかける余裕はないのです。たとえば、断熱改修工事は今後の不動産(建物)に積極的に引き当てる必要があります。家電製品はトップランナー方式で省エネ基準をクリアし、高性能になってきました。しかし、それを使用する住宅の断熱が効果的に出来ていなければせっかく設備を更新しても省エネが十分に生かされません。今後、不動産の良し悪しを判断するには、外観や設備の良し悪しだけではなく、建物が設計図通りに安全、正確に施工されているか、また、省エネ性能や劣化具合はどのような状態か、住宅を修理した履歴がしっかり管理されているか等が重要となってきます。現在、年間の住宅販売戸数における中古住宅の割合は約13%です。これは、欧米に比べて極めて低い数字です。また、現在の日本の住宅の耐用年数も極端に短く住宅ローンが終わるとその価値はほとんどゼロになってしまいます。しかし、これからは、不動産も使い捨ての消費の時代から、長期にその価値を維持する時代となります。将来、自分の住宅の価値が下落しないのであれば、日ごろの点検や修理、またそれらの履歴を残す事も苦になりません。これからは、日本人の「もったいない」精神を生かした中古住宅の市場が活性化する時代がやってくるでしょう。

Old Faithful Inn

私の百人一首
タイトル:わたしの百人一首
著 者 :白州正子
出版社:新潮文庫
価 格:500円税込
最近ではお正月に百人一首をやらなくなりました。ゲームには無数の遊びがありますし、テレビでも多くの番組がみられます。しかし、私の子供のころには、凧を作成したり、双六を作ったり、百人一首を取り出し、あまり意味は解らなかったのですが、上の句から下の句を思い出す作業をしていました。
白州正子と言えば、あの白州次郎の妻であり、晩年は作家として「能面」「かくれ里」で有名になりました。今回の一冊は、そんな彼女が百人一首について彼女なりに歌人の思いを綴った一冊です。誰もが歌の一首や二首は思い浮かぶと思いますし、カルタ遊びで耳にしていることもあり、大変馴染みやすく興味溢れます。
昨年から続く金融危機、景気の停滞によりどんよりとした経済状況が続く中、先の月例経済報告では「デフレ」という文言も織り込まれました。今年は経済の冷え込みの影響により不動産もその将来性に明るい兆しはみられない年となりました。もちろん、こんな時期だからこそ安価で不動産を手に入れ、事業に活用したり、マイホームを手に入れたりするチャンスともなります。長い目で見れば不動産投資の良い時期なのかもしれません。バブル経済崩壊後の土地神話は夢と消え、昨今の経済の疲弊が拍車をかけ不動産のゆくえに大きく影を落としています。低金利、年金不安と言われる中、個人の投資家も不動産投資を考える人は多くなりました。確かに不動産は目に見える建物や駐車場等を所有しているという安心感や所得税や相続税の軽減効が見込まれ、他の金融商品より身近でわかりやすい特徴があります。今までは、単純に不動産を購入し、賃料収入を得て、その売却利益を得るというのが一般的でした。投資額を回収するための賃料収入(インカムゲイン)、そして出口としての不動産売却利益(キャピタルゲイン)。たとえ当初の投資金額よりも安価に売却したとしても、月々の賃料が確保できていれば、節税もできもし売却損(キャピタルロス)が出たとしてもダメージは回避できます。しかし、これはあくまで机上の計算であり、いま問題となっているのはこの収入である賃料が本当に予定どおりに回収できるかどうかという点です。昨今の賃貸不動産状況は地域により大きく変わり、賃料をいくら値下げしても入居者が集まらない物件も出てきています。これは不動産を利用する側の動き、すなわちマーケットの構造をみればわかります。たとえば、人口ピラミッドをみると、住宅を新たに必要としている20歳後半~30歳前半の人口あたりを見ると解ることがあります。この30歳前後の人が生まれたのは第二次ベビーブームと言われ、第一次ベビーブームの子供たちであり、その後人口は減っています。つまり、この部分を切り取ってみると30歳前後はすでに親の家があり住宅は残されるのです。また、世帯数に関しては増加の傾向にあるのですが、ここでも問題があります。その内訳は高齢者夫婦から高齢者単身と長寿になればなるほど、高齢者単身世帯化の増加となります。これは、のちに急速に世帯数を減らし、住宅を余らせることになるでしょう。
わが国の少子高齢化を考えれば将来の不動産のあり方が見えてくると思います。もちろん地域差はありますが、すでに住宅の空き家率は13%以上となりフローからストックの時代となっています。これからは、新たに建てるのではなく、既存の住宅を修繕する住まい方が主流になってくると考えられます。また、日本の住宅寿命は諸外国にくらべ短く、苦労して住宅ローンを完済した後には住宅価値は限りなく0に近くなります。最近になって政策的に超長期住宅の構想が具体化されてきました。持続可能な住いを作り、将来にわたってその価値を継承してゆく構想です。この構想は、構造部分(スケルトン)を長寿命化し、内装や設備(インフィル)部分をその時代に合ったスタイルに改装することで快適な暮らしと低コストを実現します。もちろんこれらの住宅は断熱性能も高く、環境配慮型住宅であり省エネルギーなので水道光熱費も安く抑えられます。
また、「不動産のゆくえ」特に住宅においては、もうひとつ重要な要素があります。それはわが国特有の事情である地震です。新耐震と言われる建築基準法の耐震基準は昭和56年に新基準が施工されています。この時期を境に新しい建物は地震に強く将来の価値も望めます。しかし、古いものは耐震改修工事の必要があり、維持するのには大きなコストがかかります。現在では昭和56年以降に建設された住宅は全住宅の60%を超えていますが、まだまだすべての住宅の耐震性能を上げるのには時間がかかります。
今年、連載をしてきました「不動産のゆくえ」ですが、はなかなか予想できないものです。景気の動向や人口の動向を良くみながら、短期、中期、長期にどのように変化するかを、地域の要因を重ね合わせて総合的な判断をしながら考えなくてはなりません。

人口ピラミッド
前田由紀夫
相続財産を相続人が分けることをいいます。遺言により各相続人の取得する財産が具体的に記されている場合を除いて、相続人全員で協議して、誰が、どの財産を、どの方法で、どれだけ取得するかを決めなければなりません。遺産分割の協議は、民法で「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とされています。遺産分割協議に相続人全員が参加していなかった場合は、その遺産分割協議は無効となります。また、協議は相続人間での任意の話合いであり、相続人全員で協議し、全員が賛成すれば、遺言や法定相続分に関係なく財産をどのように分けることも自由となります。なお、協議ができないときや不調のときには、家庭裁判所で決めてもらうこととなります。
衆議院選挙で民主等が圧勝し、鳩山由紀夫氏が第93代首相となった。先月26日に臨時国会が召集され、いよいよ民主党の手腕が試される。所信表明演説では、政権交代を「国民の選択」とし、無血の平成維新と銘打って国政の変革に取り組みと宣言した。
さて、不動産における政策はどのように変わるのだろうか。今回は住生活基本計画(生成18年9月閣議決定)に基づき、その内容を確認したい。
20年度においては、少子高齢社会の到来、社会情勢の急激な変化に対応し、住宅投資の活性化による内需主導の持続的成長が求められ、住宅ストックの質の確保をする観点から、長期優良住宅の普及および省エネ改修等のリフォームを緊急的かつ重点的に促進するため、住生活基本計画の変更を行っている。
*住宅の長寿命化の取組み
平成20年11月に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が成立した。これは、住宅が長期にわたり良好な状態で使用し続けることができるように、構造や設備について。一定以上の耐久性、維持管理の容易性等の性能を備えた住宅、いわゆる長期優良住宅の普及を図るものであり、ストック型社会への転換に向けた取り組みである。20年度は、ストック型社会における住宅のあり方について、民間等の優れた提案を公募・採択し、長期優良住宅等の普及啓発に寄与するモデル事業に対して支援を行う「超長期住宅先導的モデル事業」等を実施している。(20年度採択件数:88件)

リフォーム規模の推移
*良質な住宅ストックの形成と将来世代への継承
リフォームを促進するため、リフォームに係る様々な情報の提供等を行うリフォネットhttp://www.refonet.jp/ の普及や、住宅履歴情報の整備・普及を推進している。また、住宅金融支援機構の証券化支援業務では、既存住宅の取得に対する融資限度の見直し(改修費用の上乗せ)、リフォーム費用に対する死亡時一括償還型融資では、融資対象の追加や融資限度額の引上げ等をおこなっている。
*多様な住居ニーズが実現される住宅市場の環境整備
住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)に基づき、新築住宅の基礎部分に係る10年間の瑕疵担保責任を義務付けるとともに、新築住宅及び既存住宅に対し、耐震性、省エネ対策、シックハウス対策等、住宅な基本的な性能を客観的に評価し、表示する住宅性能精度を実施している。平成19年度の実績は、設計図書の段階で評価した設計住宅性能評価書の交付が21万7千戸、現場検査を経て評価した建設住宅評価書・新築住宅の交付が20万4千戸、既存住宅の交付が1500戸となっている。
建設住宅性能評価を受けた住宅に係る紛争については、指定住宅紛争処理機関が裁判によらず迅速かつ訂正な処理を図ることとしており、住宅紛争処理センターがその支援を行っている。このセンターは、住宅全般に関する様々な相談も受け付けている。19年度の実績は、指定住宅紛争処理機関における紛争処理の申請受付件数は28件、住宅紛争処理支援センターの相談件数は2,800件となっている。
*賃貸住宅市場の整備
賃貸住宅市場においては、戸建て住宅、マンション等の持家ストックの賃貸化等を通じたストックの質の向上を図るため、定期借家制度の普及、サブリース事業の適正化等の環境整備に取り組んでいる。
*街なか住居の推進
少子高齢化の進展に伴って、高齢者や子育て世帯を中心に歩いて暮らせるまちづくりが求められているとともに、中心市街地の空洞化が進む中、街なか住居の推進によるにぎわいの再生が必要となっている。このため、ゆとりある生活を実現し、職と住が接近した近接した都市構造の形成、居住機能を含む多様な都市機能が複合した魅力的ある市街地への更新を図る必要があることから、総合設計制度、高層住居誘導地区、用途別容積型地区計画、中心市街地の活性化に関する法律も基づく中心市街地共同住宅供給事業等により、都心部や中心市街地における住宅供給を誘導・促進し、街なか居住を推進している。
主だった住生活基本計画の推進する事業を見てきた。他にも、住宅金融、税制、マンション管理の適正化と、改修・建替えの円滑化、木造住宅の新興、住宅確保に特に配慮を要する居住の安定確保などが示されている。
「衣・食・住」は生活してゆく上で極めて重要な要素である。特に「住」の部分が人間関係を構成し、社会を構成してゆく。これからの住生活における政策は、激変する社会情勢を鑑み、将来に向けてより国民が豊か生きられるようなもになることを願う。
参考:国土交通白平成20年
前田由紀夫

福岡伸一
著 者 : 福岡伸一
出版社:講談社現代新書
価 格:819円税込
著者は大学教授、専攻は分子生物学。この肩書では何とも難しく敬遠したくなりますが、内容は実に興味深いものです。流れるような文書にひきこまれ、世界最小の島・ランゲルハンス島から、ヴェネツィアの水路、そして、ニューヨーク州イサカ、治すすべのない病を辿ってゆきます。
臓器の移植に関する法律では、脳死した者の身体は死体に含まれます。しかし、脳が死んでも臓器は生き続けます。人の死は生物学的な死から離れ、どんどん前倒しされていると著者は死というものを分けて考えることに警鐘を鳴らしているようです。一冊の本の中にこれほどの要素を織り込むのはさすが最先端の学者だから出来る技化だとも考えられます。生命の本質をとらえたミステリー作品です。
期限の利益とは、法律行為に付された始期または終期のことを指す。例えば債務を負う契約を締結したとき、その履行の期限を定めれば、その時点までは債務を履行する義務はない。このような期限を定めたことによる権利義務に関する効果を、「期限の利益」という。一方、債務の担保を損傷したりすれば、期限の利益は喪失する。また、ほとんどの金銭消費貸借契約には「期限の利益の喪失」を定める条項があり、例えば、決められた期限までに返済が間に合わない場合には、期限の利益がなくなったものとして借金の残額を一括で支払うことというような特約が付されている。