
私の百人一首
タイトル:わたしの百人一首
著 者 :白州正子
出版社:新潮文庫
価 格:500円税込
最近ではお正月に百人一首をやらなくなりました。ゲームには無数の遊びがありますし、テレビでも多くの番組がみられます。しかし、私の子供のころには、凧を作成したり、双六を作ったり、百人一首を取り出し、あまり意味は解らなかったのですが、上の句から下の句を思い出す作業をしていました。
白州正子と言えば、あの白州次郎の妻であり、晩年は作家として「能面」「かくれ里」で有名になりました。今回の一冊は、そんな彼女が百人一首について彼女なりに歌人の思いを綴った一冊です。誰もが歌の一首や二首は思い浮かぶと思いますし、カルタ遊びで耳にしていることもあり、大変馴染みやすく興味溢れます。

福岡伸一
著 者 : 福岡伸一
出版社:講談社現代新書
価 格:819円税込
著者は大学教授、専攻は分子生物学。この肩書では何とも難しく敬遠したくなりますが、内容は実に興味深いものです。流れるような文書にひきこまれ、世界最小の島・ランゲルハンス島から、ヴェネツィアの水路、そして、ニューヨーク州イサカ、治すすべのない病を辿ってゆきます。
臓器の移植に関する法律では、脳死した者の身体は死体に含まれます。しかし、脳が死んでも臓器は生き続けます。人の死は生物学的な死から離れ、どんどん前倒しされていると著者は死というものを分けて考えることに警鐘を鳴らしているようです。一冊の本の中にこれほどの要素を織り込むのはさすが最先端の学者だから出来る技化だとも考えられます。生命の本質をとらえたミステリー作品です。

それでも、日本人は「戦争」を選んだ
タイトル:それでも、日本人は「戦争」を選んだ
著 者 : 加藤陽子
出版社:朝日出版社
価 格: 1,785円税込
東京大学大学院で日本近代史を教える著者が、日清戦争から太平洋戦争までの日本人の選択を高校生とともに考えます。昨今の金融危機と比較される1929年の大恐慌、そして世界的経済危機と戦争の時代1930年代、筆者と生徒たちが日清戦争から第二次世界大戦までの仕組みを、いままでにない角度で切り込みます。
タイトル:アイデアの力

アイデアのちから
著 者 : チップ・ハース ダン・ハース
出版社:日経BP社
価 格: 1,680円税込
一度聞いたら決して忘れないメッセージで人を動かす言葉を行動に駆り立てるような言葉について分析された内容です。単純明快である(Simple)、意外性がある(Unexpected)、具体的である(Concrete)、信頼性がある(Credible)、感情に訴える(Emotional)、物語性(Story)の法則で解き明かされます。ジョン・F・ケネディ米大統領の「我が国は、60年代の終わりまでに人類を月に着陸させ、無事地球に帰還させるという目標達成に、全力を尽くすべきである」 という演説はわかりやすく国民や宇宙開発に携わる人に伝わりました。また、SONYの井深大の「ポケットに入るラジオ」という目標は、SONYを世界企業に成功させました。言葉やアイデアはその作り方で人や世界を動かす偉大なものに変わります。言葉に力をつけたい人、強いメッセージを伝えたい人は必読です!

単純な脳、複雑な私
タイトル:単純な脳、複雑な「私」
著者 池谷裕二
出版社 朝日出版社
価格 1,785円税込
脳科学というと難しい分野に感じますが、それを専門としない人にとっても解りやすく書かれた内容です。特に、心の問題などは、科学ではなく哲学のようです。著者が20年前に卒業した高校で講演した内容です。しかし、高校生向けといってもかなりハイレベルであり、しっかり書かれています。(著者の卒業した高校がかなりハイレベルなことも解ります。)また、本では表現することのできない画像を携帯サイトやパソコンで見られるようになっているのも新しい形です。本から画像を取り出して自分で実験ができるような感じとでもいいましょうか、画期的なアイデアで新たな本の形を対案しています。脳に関心のある方には驚きの一冊です。
奇跡の脳
著者 ジル ボルト テイラー(原著) 竹内 薫(翻訳)
出版社 新潮社
価格 1,785円(税込)

奇跡の脳
著者はハーバード大学で活躍していた女性脳科学者。ある朝、頭痛で目覚め、助けを求めようにも電話のかけ方さえ分からない。必死の思いで同僚に連絡をとった。脳卒中により壊れてゆく脳で体験したこと、そしてそれがどんなに神秘的な体験であったのかを記録した物語です。彼女は脳科学者であったが故、その変化してゆく脳の状態を内面から感じ、それを外部に発信するまでになった。また、その陰には数学者である母親の献身的な介護があった。8年間のリハビリで彼女が見つけたものとはなにか?とても刺激的な一冊です。
著者 加藤幹敏
出版社 中日新聞社
価格 1,700円(税込)

緩急時在
2005年7月から2008年3月までの、中日新聞の編集局長である加藤幹敏氏が自らペンを執ったコラム集です。「新聞記者は素人の代表である」「素人のプロフェッショナルたれ」と一線の記者に話す筆者の考える新聞の使命が伝わってきます。また、新聞記者とは当事者や専門家がいかに難解な業界用語を使おうが、素人の歯でしっかり噛み砕く。そのための勉強が欠かせないのは言うまでもない…。っと、まえがきの引用ですが、内容はその時代時代の事柄が走馬灯のように思い出される構成となっています。人の死生観について記してある部分や丁寧な日本語の使い方には新聞を編集すると言う職業人らしい筆者の魅力に惹かれます。各年、上半期、下半期の主なニュースも記載されており、新聞では振り返ることのない時を振り返るのにありがたい一冊です。

裁判官が見た光市母子殺害事件
著者 井上 薫
出版社 文藝春秋
価格 1,680円(税込)
絶望の被害者遺族、本村洋さんはあまりにも有名になってしまった。この本は、凄惨な殺人事における裁判の解りやすい解説書のようでうす。今回の事件を基に、永山基準などの判例のあり方、前例を尊重し死刑を忌避していた司法の壁がなぜ崩れたのか、著者である元裁判官がこの裁判の流れを通じ、司法の仕組みや問題に切り込みます。間もなく始まる裁判員制度にどのように向き合ったらよいのかと考る方にはそのヒントを多く内包している一冊です。

資本主義はなぜ自壊したのか
著者 中谷 巌
出版社 集英社
価格 1,785円(税込)
小泉内閣の「改革なくして成長なし」と言うスローガンは大きな効果をあげました。筆者もその一翼を担っていた一人ですが、現在ではその社会システムが劣化している事を認めています。「新自由主義経済学」は悪魔の思想。広がる格差、止めどない環境破壊、迫り来る資源不足等。すべての元凶は資本主義そのものにあった!「新自由主義」の旗手と言われていた著者が、いま悔恨を込めて書く懺悔の書。あの構造改革の真相に迫る衝撃的な一冊です。
著者:坂本 功
出版社:岩波書店 ¥777(税込)

木造建築を見直す
少々マニアックですが、住宅、特に木造建築に少しでも興味があれば引き込まれるように読み進めます。阪神淡路大震災で木造家屋は多くの被害をもたらしました。日本では、地震、火災、風災等様々な自然条件が家屋に降りかかってきます。しかし、本当に木造家屋は弱いのか?歴史的な建物の補強や工法、建物の構造的な観点や歴史の流れ、あらゆる角度から木造建築の魅力と可能性を紹介しています。これだけコンパクトにまとまった木造建築の本は貴重です。気になる方はぜひ手にとってみて下さい。