期限の利益とは、法律行為に付された始期または終期のことを指す。例えば債務を負う契約を締結したとき、その履行の期限を定めれば、その時点までは債務を履行する義務はない。このような期限を定めたことによる権利義務に関する効果を、「期限の利益」という。一方、債務の担保を損傷したりすれば、期限の利益は喪失する。また、ほとんどの金銭消費貸借契約には「期限の利益の喪失」を定める条項があり、例えば、決められた期限までに返済が間に合わない場合には、期限の利益がなくなったものとして借金の残額を一括で支払うことというような特約が付されている。
2009/09/30
2009/09/29
不動産のゆくえ 住宅・土地統計調査
総務省は、住宅、土地の保有状況及び世帯の居住状況等の実態を5年ごとに調査し、その現状と推移を明らかにしている。今回は、この調査をもとに不動産のゆくえを考えてみたい。

住宅総数及び空家
*住宅総戸数
平成20年10月1日現在における全国の総住宅数は5759万戸となっており、平成15年の以前の調査時から、5年間で370万戸、6.9%が増加している。総戸数のうちの空き家は756万戸あり97万戸、14.6%増加している。総住宅数に占める空き家の割合は13.1%と過去最高となっている。三大都市圏の空き家は12.1%、それ以外の地域では14.3%と、人口の少ない地方圏の方が空き家の多いことがうかがえる。また、総世帯数は4999万世帯となっており、人口が減少しているにも拘らず前回の調査時よりも273万世帯、5.8%の増加となっている。
*共同住宅
住居世帯のある住宅4961万戸を建て方別にみると、一戸建ては2746万戸で全体の55.4%、共同住宅は2069万戸となる。前回の調査と比較すると、一戸建て3.7%増に対し、共同住宅は10.5%増と、住宅数及び割合も過去最高になっている。この共同住宅を階数別にみると、6階建以上が共同住宅全体の32.6%、11階建以上は12.7%、15階建以上は2.8%となっている。前回との比較によれば、6階建以上は23.7%増、11階建以上は34.1%増、15階建以上は52.1%増と大幅に増加し、高層化進行している。
*持ち家住宅率
住宅所有の関係別にみると、持ち家が3037万戸で、住宅全体に占める割合=持ち家住宅率
は、61.2%、借家が1774万戸で35.8%であり、前回調査とほぼ同率となった。
*専用住宅の借家の規模
住宅専用に建築された専用住宅について、一住宅当たりの住居の床面積をみると、持ち家は120.89㎡となっているのに対し、借家では45.93㎡と調査開始時から戸当たりの面積は増えているが、借家は持ち家の半分以下となっている。
*高齢者等のための設備
高齢者などに配慮した住宅設備についてみると、高齢者等のための設備がある住宅は2415万戸で、住宅全体に占める割合は48.7%となっており、前回調査より8.9%増加した。
手摺のある、またぎやすい高さの浴槽がある、段差のない室内をもつ住宅が、住宅全体の20%以上となり、高齢化に配慮した住宅が増えている。

高齢単身者数
*高齢者単身世帯
高齢者のいる世帯は1821万世帯となり、主世帯全体の36.7%と3分の1を超えている。前回の調査に比べ、180万世帯。10.9%の増加となった。
高齢単身世帯は414世帯となり、前回調査より76万世帯、22.4%増加し過去最高となり、高齢者のいる世帯に占める割合は22.7%と過去最高であり、今後、増えると予想される。
注)高齢者のいる世帯:65歳以上の世帯員がいる世帯
高齢単身世帯:65歳以上の単身の世帯
*住宅火災報知機
自動火災報知設備(住宅火災報知機等)のある住宅数は2231万戸で、住宅全体に占める割合(自動火災感知設備設置率)は45%となっており、前回の1112万戸23.7%に比べ、ほぼ倍になっている。
また、住宅の建て方別にみると、一戸建ては31.1%、共同住宅は64.1%と共同住宅の設置率は一戸建ての2倍である。
注)住宅火災報知機等は、平成16年6月2日の消防法の一部改正により設置が義務付けられ、新築住宅は平成18年6月1日から、既存住宅は市町村条例で定める日から適用となっている。
この、住宅・土地統計調査の結果は、住生活基本計画、新総合土地政策推進要綱、大都市圏整備計画、住宅マスタープラン、防災計画等における分析のための基礎資料として利用される。
参考:総務省平成20年住宅・土地統計調査(速報集計)
前田由紀夫
2009/09/28
お勧めの一冊

それでも、日本人は「戦争」を選んだ
タイトル:それでも、日本人は「戦争」を選んだ
著 者 : 加藤陽子
出版社:朝日出版社
価 格: 1,785円税込
東京大学大学院で日本近代史を教える著者が、日清戦争から太平洋戦争までの日本人の選択を高校生とともに考えます。昨今の金融危機と比較される1929年の大恐慌、そして世界的経済危機と戦争の時代1930年代、筆者と生徒たちが日清戦争から第二次世界大戦までの仕組みを、いままでにない角度で切り込みます。
2009/09/02
コラム 不動産の価値

ピーク&クロッペンブルグ
不動産にはいくつかの価値基準があります。公示価格、基準地価各、相続税路線価、固定資産税価格そして時価です。このように不動産には様々な価格が付いています。では、「価値」という切り口で不動産を見てみるとどうなるでしょう。その価値を大きく分析すると三つのタイプに分かれます。一つは不動産を売却したときに得られる価値です。人気エリアは価値が高くなるという市場原理が働きます。二つ目は、その不動産を手放さずに賃貸ビルや駐車場にしてお金を生むようにして価値を出す方法です。賃貸収入による価値です。そして三つ目は、金融機関などに担保にさし入れてお金を借りるための価値があります。これらの切り口から不動産の価値を判断し、うまく利用することが求められます。
前田由紀夫
2009/09/01
不動産のゆくえ 土地白書を読む(後半)
*不動産投資動向
不動産投資の動向の中で注目されるものはJ-REITである。今年の3月末時点で41銘柄が上場し、720万口、時価約2兆5千億円が流通している。今まで健全に成長を続けてきたJ-REIT市場は、世界金融危機の発生・拡大の影響により、平成20年度は下落基調となった。平成19年に実施された不動産証券化の対象となった不動産又はその信託受益権の額は約8兆9千億であり平成20年に実施されたものは三分の一の約3兆円となった。投資口価格は平成19年5月末には2612.98だったが、平成20年度には最大で70%下落し、今年3月には845.37となった。また、対象となった不動産の主な用途を資産額ベースでみると、平成20年度では、オフィスが37.7%、レジデンスが15.1%、商業施設が21.6%と用途別の構成では過去5年以上あまり変化はみられない。

不動産証券化の実績の推移
J-REITを上場企業の不動産投資からみると、平成11年~平成18年にかけて、上場企業の売却する不動産の買い手はJ-REITが多数であることがわかる。しかし、平成20年以降はJ-REITやSPC(特別目的会社)の物件取得数は大幅に減少している。すなわち、投資用不動産が急激に冷え込んだのである。
また、J-REITの賃貸事業の推移及び他の金融商品との価格をみると、事業収益の総額は安定しているが、投資口価格は平成20年度に株式とともに大きく下落している。つまり、リターンである家賃収入には大きな変化はないが、株式に相当する投資口価格は大きく下落している。不動産証券化市場は、新たな金融化商品として期待され、市場には新たな買い手を創出し、都市開発の推進、投資商品の提供、関連ビジネスの活性化、マーケットの透明化など多くの重要な役割を果たしてきた。しかし、平成19年8月のサブプライム危機、平成20年9月のリーマンショックなどの金融危機の影響等により、不動産投資市場に資金が回らなくなり、これらの役割を果たせなくなってしまう恐れが生じている。今後は不動産投資市場の継続的な発展を図り、こうした役割を発揮させて行くためにJ-REITの合併・再編や運用会社のコーポレートガバナンスの強化や長期的に資金が確保できるような環境整備を図る必要がある。
*政府が土地について講じた緊急対策
我が国の住宅・不動産市場では、健全な事業についても、先に述べた金融危機の問題により経済が停滞し、取引の減少や価格の下落が著しい。そこで、平成20年12月に「住宅・不動産市場活性化のための緊急対策」が取りまとめられた。平成21年度税制改正においては、土地需要を喚起し、土地の流動化と有効活用を推進する観点から、平成21年、22年の2年間に土地を取得した場合、土地の譲渡益課税について大きなメリットを受けることができる「取得する土地等の将来譲渡益に係る1,000万円特別控除」及び「保有する土地等の将来譲渡に係る課税の繰り延べ制度」が創設された。
* 政府の土地に係る中長期的な課題と取組
昨今、不動産証券化の拡大・浸透に伴い、情報開示の進展などを通じた透明化の向上が図られるとともに、国際的な投資資金の移動が容易になっていると考えられる。不動産市場の整備については、今後の不動産需要の変化や、消費者・投資家のニーズへの的確な対応という観点から、市場の安定的な成長を図ることが重要であり、市場の健全な機能が充分に発揮されるよう、情報・資金・人材それぞれについて重点的な対応を図る必要がある。ここでは詳しくは触れないが、不動産取引価格情報の提供、不動産投資情報の開示の推進、地方における不動産の流動化・証券化の促進などが取り組まれている。
また、個人・企業・行政等の市場行動の変化への対応としては、ライフスタイルに応じた、様々なニーズに照らし、住宅を主体的に選択したいと言うニーズが強まっていることとともに、企業、行政それぞれの主体においては、不動産を戦略的に活用していこうという動きが展開している。企業不動産・公的不動産における戦略的マネジメントの普及・促進、エリアマネジメントの推進などである。そして、新しい不動産価値の創出として、環境から質の高い不動産の形成促進、土壌汚染における土地取引円滑化のための情報整備などが検討されている。
今後は少子高齢化の進行に伴い、全国各地において、空き地・空き屋・空き店舗等が増加し、地域活力の低下、自然環境・地域環境の悪化など様々な問題が深刻化しているが、これらの不動産の適正な管理、有効利用が重要な課題となってくる。
国土交通省 土地白書から抜粋
前田由紀夫