
福岡伸一
著 者 : 福岡伸一
出版社:講談社現代新書
価 格:819円税込
著者は大学教授、専攻は分子生物学。この肩書では何とも難しく敬遠したくなりますが、内容は実に興味深いものです。流れるような文書にひきこまれ、世界最小の島・ランゲルハンス島から、ヴェネツィアの水路、そして、ニューヨーク州イサカ、治すすべのない病を辿ってゆきます。
臓器の移植に関する法律では、脳死した者の身体は死体に含まれます。しかし、脳が死んでも臓器は生き続けます。人の死は生物学的な死から離れ、どんどん前倒しされていると著者は死というものを分けて考えることに警鐘を鳴らしているようです。一冊の本の中にこれほどの要素を織り込むのはさすが最先端の学者だから出来る技化だとも考えられます。生命の本質をとらえたミステリー作品です。