
私の百人一首
タイトル:わたしの百人一首
著 者 :白州正子
出版社:新潮文庫
価 格:500円税込
最近ではお正月に百人一首をやらなくなりました。ゲームには無数の遊びがありますし、テレビでも多くの番組がみられます。しかし、私の子供のころには、凧を作成したり、双六を作ったり、百人一首を取り出し、あまり意味は解らなかったのですが、上の句から下の句を思い出す作業をしていました。
白州正子と言えば、あの白州次郎の妻であり、晩年は作家として「能面」「かくれ里」で有名になりました。今回の一冊は、そんな彼女が百人一首について彼女なりに歌人の思いを綴った一冊です。誰もが歌の一首や二首は思い浮かぶと思いますし、カルタ遊びで耳にしていることもあり、大変馴染みやすく興味溢れます。
昨年から続く金融危機、景気の停滞によりどんよりとした経済状況が続く中、先の月例経済報告では「デフレ」という文言も織り込まれました。今年は経済の冷え込みの影響により不動産もその将来性に明るい兆しはみられない年となりました。もちろん、こんな時期だからこそ安価で不動産を手に入れ、事業に活用したり、マイホームを手に入れたりするチャンスともなります。長い目で見れば不動産投資の良い時期なのかもしれません。バブル経済崩壊後の土地神話は夢と消え、昨今の経済の疲弊が拍車をかけ不動産のゆくえに大きく影を落としています。低金利、年金不安と言われる中、個人の投資家も不動産投資を考える人は多くなりました。確かに不動産は目に見える建物や駐車場等を所有しているという安心感や所得税や相続税の軽減効が見込まれ、他の金融商品より身近でわかりやすい特徴があります。今までは、単純に不動産を購入し、賃料収入を得て、その売却利益を得るというのが一般的でした。投資額を回収するための賃料収入(インカムゲイン)、そして出口としての不動産売却利益(キャピタルゲイン)。たとえ当初の投資金額よりも安価に売却したとしても、月々の賃料が確保できていれば、節税もできもし売却損(キャピタルロス)が出たとしてもダメージは回避できます。しかし、これはあくまで机上の計算であり、いま問題となっているのはこの収入である賃料が本当に予定どおりに回収できるかどうかという点です。昨今の賃貸不動産状況は地域により大きく変わり、賃料をいくら値下げしても入居者が集まらない物件も出てきています。これは不動産を利用する側の動き、すなわちマーケットの構造をみればわかります。たとえば、人口ピラミッドをみると、住宅を新たに必要としている20歳後半~30歳前半の人口あたりを見ると解ることがあります。この30歳前後の人が生まれたのは第二次ベビーブームと言われ、第一次ベビーブームの子供たちであり、その後人口は減っています。つまり、この部分を切り取ってみると30歳前後はすでに親の家があり住宅は残されるのです。また、世帯数に関しては増加の傾向にあるのですが、ここでも問題があります。その内訳は高齢者夫婦から高齢者単身と長寿になればなるほど、高齢者単身世帯化の増加となります。これは、のちに急速に世帯数を減らし、住宅を余らせることになるでしょう。
わが国の少子高齢化を考えれば将来の不動産のあり方が見えてくると思います。もちろん地域差はありますが、すでに住宅の空き家率は13%以上となりフローからストックの時代となっています。これからは、新たに建てるのではなく、既存の住宅を修繕する住まい方が主流になってくると考えられます。また、日本の住宅寿命は諸外国にくらべ短く、苦労して住宅ローンを完済した後には住宅価値は限りなく0に近くなります。最近になって政策的に超長期住宅の構想が具体化されてきました。持続可能な住いを作り、将来にわたってその価値を継承してゆく構想です。この構想は、構造部分(スケルトン)を長寿命化し、内装や設備(インフィル)部分をその時代に合ったスタイルに改装することで快適な暮らしと低コストを実現します。もちろんこれらの住宅は断熱性能も高く、環境配慮型住宅であり省エネルギーなので水道光熱費も安く抑えられます。
また、「不動産のゆくえ」特に住宅においては、もうひとつ重要な要素があります。それはわが国特有の事情である地震です。新耐震と言われる建築基準法の耐震基準は昭和56年に新基準が施工されています。この時期を境に新しい建物は地震に強く将来の価値も望めます。しかし、古いものは耐震改修工事の必要があり、維持するのには大きなコストがかかります。現在では昭和56年以降に建設された住宅は全住宅の60%を超えていますが、まだまだすべての住宅の耐震性能を上げるのには時間がかかります。
今年、連載をしてきました「不動産のゆくえ」ですが、はなかなか予想できないものです。景気の動向や人口の動向を良くみながら、短期、中期、長期にどのように変化するかを、地域の要因を重ね合わせて総合的な判断をしながら考えなくてはなりません。

人口ピラミッド
前田由紀夫
相続財産を相続人が分けることをいいます。遺言により各相続人の取得する財産が具体的に記されている場合を除いて、相続人全員で協議して、誰が、どの財産を、どの方法で、どれだけ取得するかを決めなければなりません。遺産分割の協議は、民法で「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とされています。遺産分割協議に相続人全員が参加していなかった場合は、その遺産分割協議は無効となります。また、協議は相続人間での任意の話合いであり、相続人全員で協議し、全員が賛成すれば、遺言や法定相続分に関係なく財産をどのように分けることも自由となります。なお、協議ができないときや不調のときには、家庭裁判所で決めてもらうこととなります。
衆議院選挙で民主等が圧勝し、鳩山由紀夫氏が第93代首相となった。先月26日に臨時国会が召集され、いよいよ民主党の手腕が試される。所信表明演説では、政権交代を「国民の選択」とし、無血の平成維新と銘打って国政の変革に取り組みと宣言した。
さて、不動産における政策はどのように変わるのだろうか。今回は住生活基本計画(生成18年9月閣議決定)に基づき、その内容を確認したい。
20年度においては、少子高齢社会の到来、社会情勢の急激な変化に対応し、住宅投資の活性化による内需主導の持続的成長が求められ、住宅ストックの質の確保をする観点から、長期優良住宅の普及および省エネ改修等のリフォームを緊急的かつ重点的に促進するため、住生活基本計画の変更を行っている。
*住宅の長寿命化の取組み
平成20年11月に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が成立した。これは、住宅が長期にわたり良好な状態で使用し続けることができるように、構造や設備について。一定以上の耐久性、維持管理の容易性等の性能を備えた住宅、いわゆる長期優良住宅の普及を図るものであり、ストック型社会への転換に向けた取り組みである。20年度は、ストック型社会における住宅のあり方について、民間等の優れた提案を公募・採択し、長期優良住宅等の普及啓発に寄与するモデル事業に対して支援を行う「超長期住宅先導的モデル事業」等を実施している。(20年度採択件数:88件)

リフォーム規模の推移
*良質な住宅ストックの形成と将来世代への継承
リフォームを促進するため、リフォームに係る様々な情報の提供等を行うリフォネットhttp://www.refonet.jp/ の普及や、住宅履歴情報の整備・普及を推進している。また、住宅金融支援機構の証券化支援業務では、既存住宅の取得に対する融資限度の見直し(改修費用の上乗せ)、リフォーム費用に対する死亡時一括償還型融資では、融資対象の追加や融資限度額の引上げ等をおこなっている。
*多様な住居ニーズが実現される住宅市場の環境整備
住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)に基づき、新築住宅の基礎部分に係る10年間の瑕疵担保責任を義務付けるとともに、新築住宅及び既存住宅に対し、耐震性、省エネ対策、シックハウス対策等、住宅な基本的な性能を客観的に評価し、表示する住宅性能精度を実施している。平成19年度の実績は、設計図書の段階で評価した設計住宅性能評価書の交付が21万7千戸、現場検査を経て評価した建設住宅評価書・新築住宅の交付が20万4千戸、既存住宅の交付が1500戸となっている。
建設住宅性能評価を受けた住宅に係る紛争については、指定住宅紛争処理機関が裁判によらず迅速かつ訂正な処理を図ることとしており、住宅紛争処理センターがその支援を行っている。このセンターは、住宅全般に関する様々な相談も受け付けている。19年度の実績は、指定住宅紛争処理機関における紛争処理の申請受付件数は28件、住宅紛争処理支援センターの相談件数は2,800件となっている。
*賃貸住宅市場の整備
賃貸住宅市場においては、戸建て住宅、マンション等の持家ストックの賃貸化等を通じたストックの質の向上を図るため、定期借家制度の普及、サブリース事業の適正化等の環境整備に取り組んでいる。
*街なか住居の推進
少子高齢化の進展に伴って、高齢者や子育て世帯を中心に歩いて暮らせるまちづくりが求められているとともに、中心市街地の空洞化が進む中、街なか住居の推進によるにぎわいの再生が必要となっている。このため、ゆとりある生活を実現し、職と住が接近した近接した都市構造の形成、居住機能を含む多様な都市機能が複合した魅力的ある市街地への更新を図る必要があることから、総合設計制度、高層住居誘導地区、用途別容積型地区計画、中心市街地の活性化に関する法律も基づく中心市街地共同住宅供給事業等により、都心部や中心市街地における住宅供給を誘導・促進し、街なか居住を推進している。
主だった住生活基本計画の推進する事業を見てきた。他にも、住宅金融、税制、マンション管理の適正化と、改修・建替えの円滑化、木造住宅の新興、住宅確保に特に配慮を要する居住の安定確保などが示されている。
「衣・食・住」は生活してゆく上で極めて重要な要素である。特に「住」の部分が人間関係を構成し、社会を構成してゆく。これからの住生活における政策は、激変する社会情勢を鑑み、将来に向けてより国民が豊か生きられるようなもになることを願う。
参考:国土交通白平成20年
前田由紀夫