
木造ホテル
昨今、地球温暖化対策を考えずして政治や経済は語れません。日本の家電製品はここ数年でかなりのレベルの省エネを達成してきました。これは世界に誇れる素晴らしい技術だと言っても良いと思います。日本企業の技術力の高さ、日本人のものづくりに対する勤勉さが、短期間で省エネ商品を開発したのです。また、エコポイント等の政策面の後押があったのは言うまでもありません。さて、家電製品のような機械物になるとかなりの技術を持つ日本人ですが、なぜか住宅の省エネについてはあまり深く考えていないように感じます。建物を建てて永く住み続ける事は省エネの基本的な考え方です。また、その建物は快適な空間がなければなりません。冬は暖かく夏は涼しい住宅です。しかもエネルギーを極力使わない住宅です。このエネルギーには二通りあります。一つは化石燃料を燃やして作ったエネルギーです。これは一般的に電力会社で買ったものを使っています。もうひとつは、自然エネルギーを利用したものです。太陽の光を利用した太陽光パネル、太陽の熱そのものを利用した温水器、また、風や地熱等を利用したものもあります。電力エネルギーを得るために色々と工夫されています。そして、最近は様々な商品が開発されています。太陽電池はもちろんのこと、家庭用風力発電機、エコキュート、熱交換換気扇、液晶テレビ、LED照明等々。しかし、省エネの象徴的なものは車でしょうか。エコカー減税もの追い風もあって、ハイブリッドカーは驚くほどの売れ行きです。モーターとエンジンで走りますのでかなり燃費が良いのです。さて、この燃費ですが、家電製品の消費電力や自動車の燃費は気にしますが、住宅がどのくらいの燃費であるのかはあまり議論されてきませんでした。しかし、EUの住宅事情は少々違います。最近、EUでは新築及び中古住宅に、燃費表示をすることが義務付けられたのです。これを、エネルギーパフォーマンス表示制度と言います。加盟国によって算出方法や表示方法は多少違いますが考え方は同じです。住宅全体を捉え、どのくらいの燃費であるのかを、住宅の床平方メートル当たりの年間エネルギー消費量として表示しなくてはなりません。日本の場合、最近始まった住宅版エコポイントもそうですが、住宅のパーツパーツを捉えた考え方をしています。これでは住宅全体の燃費を知ることはできません。日本は世界をリードして省エネ商品を開発し、CO2排出を抑えなければならない立場なのですが、現状は方向性が違います。
また、住宅そのものを建てるのに大量のエネルギーが必要となります。EUでは住宅と言うと石造りのイメージがあります。しかし、最近では環境に優しい循環型の建物として木造が注目されています。すでに4階、5階建ての木造住宅が普通に建設されているのには驚きです。日本も森林大国であり、一戸建てを建設するには木質の材料を使用するのが一般的です。また、合板などの木質材力は、鋼材やアルミニウムに比べ材料生産時のエネルギー消費が格段に小さく済みます。つまり、日本でも意識をすれば環境によい快適な住まいづくりの流れになると思います。最近、環境番組等を観ていると「フードマイル」をよく取り上げています。これは、販売されている食材が原産地からどのくらいの距離を移動したかを測ったものです。よくアスパラガスや小麦を例にとって、国産と輸入でどのくらい消費エネルギーが違うかを比較されています。これは、住宅にも言える事です。建材の製造過程のエネルギーが少なく、それらの建材をうまく使って快適な住宅を建設すればよい訳です。もちろん、その快適さは寒さ暑さを我慢するようなものでないと言う定義をクリアしなくてはなりません。さて、EUの住宅はどのような工夫が凝らされているのでしょう。ドイツやオーストリア、スイス等は日本よりかなり気温の低い国です。同じ住宅と言っても、もちろん日本とのは気候の差もありますし、習慣も違います。しかし、省エネルギー(エコ)で快適な暮らしをする目標は日本もEUも同じです。快適な住宅は寒暖の差がなく、高齢者や障害者に優しく、誰にとっても健康的な住宅です。次回はその快適さを求めるための工夫について考えたいと思います。
前田由紀夫