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2010/06/26

人口減少時代の不動産

カテゴリー: お勉強など!, 建設 ・不動産 — admin @ 3:32 PM

先月、政権交代をはたした連立民主党の鳩山内閣が解散をし、新たに菅内閣が発足しました。強い経済、強い財政、強い社会保障の実現のための新成長戦略が策定されました。建築、不動産業の戦略として、中古住宅・リフォーム市場の倍増計画が盛り込まれました。これまでの、新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換を促進するため、建物検査・保証、住宅履歴情報の普及促進等の市場環境整備・規制改革、マンションの再生を盛り込んだ中古・リフォーム市場整備のためのトータルプランの策定をしました。また、中古住宅流通市場・リフォーム市場を20兆円まで倍増を図るとともに、ネット・ゼロ・エネルギー住宅を標準的な新築住宅とすることを目指します。これを受けて、国土交通省では中古住宅に評価指標を決め、売買を即すため、来年4月から物件評価の目安となる指標を公表すると発表しました。建築・不動産マーケットは急激に変化するように見えますが、人口の減少や世帯の変化を見るとその将来がみえてきます。大きく分けてこれからの建築、特に居住用の不動産については、わが国の抱える人口・世帯等の社会構造的な問題と、建物における環境、耐震等の問題がかかわってきます。
日本の人口が減少傾向にあるのは誰もが知る事実です。経済の成長を考えるのに、人口増加を考える事が当たり前だった時代の理論はもはや通用しません。急激な少子高齢化は社会的大問題であり、これからの政治や経済のあり方にも大きく影響します。今までに経験したことのない事態にどのように対処するかは全く未知の世界となります。ここで、少し慎重に数字を考えてゆきますが、2010年の人口ピラミッド(国立社会保障・人口問題研究所)は図1のとおりとなります。45年先の2055年の予想の図2と見比べて頂ければ解りますが、全体の面積(=総人口)は減り、頭でっかちな高齢社会になる事が伺えます。人口の総数で言えば2008年が、1億2千7百万人だったのが、たった45年で8千9百万人になってしまうのです。これは今から55年前の1955年と同じレベルであり、僅か100年の間で日本の人口には大きな変動がおこります。現在の65歳以上の老年人口は21%、つまり100人に対し21人ですが、2055年には41%、100人に対し41人となります。また、0歳~14歳までの年少人口は8%、15歳~64歳の勤労人口は51%となり、働く人は実に2人に1人となります。このような時代が来る事を考えれば、今までの建築・不動産のあり方が大きく変わることは予想できると思います。また、忘れてならないのは世帯数です。日本の世帯数はまだ増加しています。人口減少が起こったにも関わらずしばらく世帯数は増加するのです。2010年の総世帯数は5千20万世帯、平均世帯人員は2.47人です。2015年では、5千60万世帯、平均人員は2.42人に減少します。推計ではここで世帯数は頭打ちになります。平均人員は減少し、さらに単身世帯は増加が加速します。つまり、不動産投資を考えるには、直近での世帯数増加、将来の人口減少、世帯数減少及び単身世帯の増加を考える必要があります。
これらの人口問題を切り口に考えても、直近のデータは別にして近い将来ストックマーケットである中古の建物流通が中心となり、それを修理して使うリフォームマーケットが充実してくることが読み解けます。さらに、拍車をかけるのが環境の問題です。日本の住宅の耐用年数は30年であり、米国55年、英国77年に比べかなり短いものとなっています。これでは財産である不動産と言っても社会的価値は維持できません。今後は新築住宅に性能の高い省エネ基準や耐震基準が求められ、長期に居住でき、環境に優しいエコ住宅である事が必須となります。長期に住宅が使用するわけですから、この切り口でも中古マーケット、リフォームマーケットは活性化すると予想されます。新政権による成長戦略に挙げられている、建物検査・保証、住宅履歴情報の普及促進等の市場環境整備・規制改革は、今までの建築・不動産マーケットのありかたを大きく変えることになると思われます。

前田由紀夫

図.1 2010年 人口ピラミッド

図.1 2010年 人口ピラミッド

図.1 2055年 人口ピラミッド

図.1 2055年 人口ピラミッド

2010/06/01

EUのから学ぶ家づくり Ⅱ 高気密・高断熱

カテゴリー: 建設 ・不動産 — admin @ 9:44 PM
木造集合住宅

木造集合住宅

EUでは住宅の省エネを数値化しなくてはなりませんし、省エネ基準に則った住宅でないと価値も低くなってしまいます。また、住宅の寿命も長くする工夫が多くしてあります。よって、新築、中古住宅を問わずかなり高気密・高断熱であり、太陽光パネルや地熱利用などの自然エネルギーを利用する設備等の技術も進んでいます。しかし、それらをそのまま日本に持ってきても、気候や風土が違うので快適な住宅は出来ません。快適と感じることについては国や地域は関係ありませんが、南北に長い日本列島も南と北とでは気候条件から建物の仕様もかなり変わってきます。EUでも特に北に位置する地方は、自然のエネルギーをうまく利用していると思います。そのひとつの考え方に太陽からの光(熱)を蓄熱する考え方です。昼間降りそそぐ太陽からの熱を壁面などにため込んで、夜間の暖房に使うような考え方です。また、部屋の気密性・断熱性能を上げるための気密シートや、断熱材もよく考えられ、環境に優しい材料が使われています。国策として環境に取り組んでいるのがよくわかります。さて、快適な住まいとはどのような条件が必要であるかを考えてみましょう。一つの選択肢として、高気密・高断熱があります。では、どのようなメリットがあるのでしょう。しっかりと気密され、断熱された住宅ではどの部屋でも温度が一定し、年中快適に暮らせます。脳卒中で亡くなる方のデータを見てみますと、気温の低い長野県、秋田県、岩手県、群馬県が多くなっています。しかし、北海道は寒い地域にかかわらず鹿児島県よりも低くなっています。これは、北海道が非常に寒いことにより、住宅に寒さ対策が考えられているからにほかなりません。寒い時期は住宅の中の温度差が激しくなる傾向にあります。たとえば居間は25℃あるのですが、トイレやお風呂はまたそこに行く廊下は非常に寒く、5℃になっていたとします。実に温度差20℃です。これでは、暖かい部屋から冷蔵庫のなかに入るようなもので体もついていきません。特にご高齢の方には厳しい環境と言えるでしょう。この状態で脳卒中になったりすることを「ヒートショック」と呼びます。しかし、家屋全体を適正な温度にする工夫があれば、このヒートショックにより脳卒中になる方も少なくなります。この快適性能を実現するためには、温度差を小さくしなくてはなりません。空気は暖められると上昇しますが、高気密・高断熱の住宅は、暖房で暖められた熱が逃げにくく、部屋中の温度差があまりありません。家屋全体を暖めるというと無駄なエネルギーを使い省エネではなくなると思われる方がいるかもしれませんが、建物の外部に面す壁や窓を高気密高断熱にすることにより、少ないエネルギーで家屋全体が温まる状態となります。また、高齢者にとっても、家屋全体が暖かければ行動範囲が広がり、体を動かす機会も増えてきます。部屋の暖かさは、容量の大きな暖房器を使い室温を20℃にする場合と、高気密・高断熱で20℃を保つ場合では快適さが全然違います。壁・床・天井がしっかり断熱していないと冷輻射(コールドドラフトとも言い、冷たいものに近づくと人体からの輻射熱が吸収され反射熱がないので体感温度が下がること)により寒く感じ、隙間風やドアを開けた時の空気の流れで室温が高くても暖かさを感じないことがあります。これらのように体で感じる温度を体感温度と言います。断熱・気密レベルの低い建物は室温が20℃でも壁等の表面温度が10℃であれば体感温度はおおよそ15℃となります。しかし、断熱・気密レベルの高い家屋では、室温20℃、表面温度が18℃であれば体感温度は19℃となります。体感温度の計算は、(表面温度+室内温度)÷2=体感温度、でだいたい求められます。これは寒い地方、寒い時期だけの問題ではありません。夏の冷房でも同じとなります。断熱や気密がしっかりしていない家屋は、外部から暖かい空気が流れこんだり、壁や屋根からの熱が伝わったりしてエアコンの効きが悪く感じます。これではせっかくの設備も能力を十分に発揮しません。高気密・高断熱を実現するには高度なノウハウが必要ですが、省エネで快適性の高い住宅は。CO2を25%削減しなければならない時代に必須となります。すでにEUでは多くの高気密・高断熱で省エネ快適な住宅が建てられています。

前田由紀夫

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