2008.06.02 森を覗いて地球環境問題を知る
平成20年元旦の朝刊、新春号をご覧になった方は、例年の新春号との違いを気付いたのではなかろうか。 昨年のIPCC(気象変動に関する政府間パネル)第4次報告では「気候システムの温暖化には疑う余地がない」と結論づけた。 今年は、京都議定書の約束の年と言うこともあり、新聞各紙は環境問題の特集を組み、広告面には企業の環境への取り組みが多く掲載され、未来の地球の姿を案じていた。 もし、この温暖化の問題が深刻でなければ、紙面は北京オリンピックの特集と協賛、応援をするイメージ広告で賑わっただろう。
京都議定書による我が国の温室効果ガスの削減目標は1990年の基準に比べ、2008年〜2012年までにマイナス6%となった。 しかし現状は基準年総排出量比約8%増となっている訳であるから、実に14%以上を削減しなくてはならないといこととなる。これは非常に高いハードルである。
さて、まず地球レベルで温暖化と森林のことを考えてみる。水の惑星地球は、面積の70%が海であり、30%が陸地である。 そして陸地の30%が森林である。地球規模で考えれば、地球温暖化の救世主である森林は地球の面積の割合からすればたった9%しかない。 次に日本に視点を移してみると、国土の70%、2,500万haが森林である。そのうち人工林は40%の1,000万haを占めており、森林と共生している国であることが解る。 また、人工林の割合が多いのは、日本がいかに緑に恵まれた国であり、木材を育てるのに適した環境であるかが伺い知れる。 森林は二酸化炭素を吸収してくれるだけでなく水を蓄え土地を豊かにし、生物多様性の保全機能を有するのだ。
また、日本で使われる木材量はおおよそ1億?と言われている。これは日本人が50年間育ったスギの木を、1年間で約3本使う計算となる。 また、日本はフィンランド、ノルウェーに続いて世界第3位の森林大国であるにもかかわらず、現状は木材の80%が輸入となっている。 残念ながら現在、日本では、森林の手入れがなされずに放置されている地域が多く、林業が成り立っていない状態である。
まだ遅くはない。この日本には森林に恵まれた土壌があるのだから、まだまだ可能性は大いにあるのではないだろうか。 間伐などの伐採を計画的に行い森林整備し、伐採した材木を建築材料や家具等で長く使う。最終的には燃料(エネルギー)となるまで使い切る。 そして、伐採したところにはまた木を植える作業を繰り返して行けば持続可能な循環が実現する。 つまり、伐採し木材を可能な限り長く利用することにより、二酸化炭素の排出は抑えられ、伐採した後に二酸化炭素を吸収する木材を植林するのである。 日本の林業の自立は二酸化炭素の吸収量を大幅に増やすことになる。
話は戻るが、京都議定書の温室効果ガス削減目標のうち3.8%を森林吸収源対策で、1.6%を京都メカニズムの確保で行うことが認められている。これは日本にとって大きなチャンスである。 これを機に忘れられていた日本の林業政策をもう一度見直し、長い目で木材と付き合って行ける政策とする必要がある。 木の成長に合わせた、時代を超えた長い価値観で物事を考えれば、地球温暖化問題の解決のカギとなるだろう。
前田 由紀夫
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